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2008年7月19日 (土)

「硬蒸熟軟式法」が普及しなかった理由

中村氏は、蒸米を仕上げる「硬蒸熟軟式法」を甑を利用する方法として唯一の合理的方法だとしています。

しかし、実行する人がいないと嘆いています。

この合理的な方法が受け入れられない理由として、「赤い蒸米は酒を赤くする」という伝説が全国に伝わっているためだとしています。

そこで中村氏はなぜ「赤い蒸米は酒を赤くする」という誤解が生まれたのか、を解説しています。

この伝説は丹波流が発祥であり、明治中頃までは「硬蒸熟軟式法」と同じ「明け取り式」であったということです。「明け取り式」は検蒸後、甑内に2時間ほど「熟まし(うまし)」をしておく方法です。

中村氏はいいます。伝説にある赤い蒸米とは「熟まし(うまし)」をしている蒸米を指しているのであり、白い米も同じく「熟まし(うまし)」をしている蒸米を指しているのだと。

それなのになぜ赤いのと白いのとの差が出たのか?

答えは、それは単に精米歩合の差だったのではないかと、米が黒いから生じた赤い米を指すのであって、「熟まし(うまし)」をしたことによって生じた赤い米を指すのではない、と中村氏は喝破します。

本を発行した当時、現在と同じく、「煮え取り式」と言って、検蒸後、すぐに甑から取り出す方式に変わっていたそうです。

中村氏は、「煮え取り式」に厳しい意見を持っています。

この方式を「伝説を誤解して得た空想から生まれて不合理方向に一歩進めた改悪法」であるとし、さらに「短時間蒸し」、「米置前掛水法」、「弱火力蒸法」などに脱線し、麹に酛にも醪にもまったく不適な「不消化性の濁白軟弱性蒸米」を生ずるに至ったとしています。

今日はここまでとします。

中村先生、本当に尊敬します。

明日は「蒸米からみた酒造」が出た背景に迫ってみたいと思います。

参考文献

蒸米からみた酒造」 中村政五郎著(昭和5年)

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