「甲斐路」について調べました
氏より育ちとは申しますが、やはり血は争えないものです。
米の性質も先祖から受け継いだ性質が現れてきます。
優れた酒米の祖先を辿っていくと、「雄町」という品種に行きつくことが多いのです。
ブドウに関しても同様であるようです。
日本の優れた生食用ブドウの祖先を辿ってみると、「マスカットオブアレキサンドリア」に行きつくことが多いのだそうです。
いわゆる「マスカットの香り」がする品種の祖先は、「マスカットオブアレキサンドリア」だいうことです。
「甲斐路」のワインに感じる「マスカットの香り」は、親の「ネオマスカット」の親の「マスカットオブアレキサンドリア」から継承したものです。
また、含み香の前半は「マスカットの香り」ですが、後半には「甲州」のワインと同様の香りがします。
これも、親の「ネオマスカット」の親に「甲州三尺」という「甲州」の変種がいるせいであることがわかりました。
「甲斐路」の気品のある外観は「ぶどうの女王」と言われる「フレームトーケー」から受け継いだものであるようです。
ところで、七右エ門窯で陶芸教室をするのを勧めた「寒河江善秋(さがえぜんしゅう)」氏が、「甲斐路」について書いたエッセーがあります。
「くいしんぼう」という題のエッセーで、「生死一大事」という遺稿集に収められています。
一番好きな食べ物が果物で、エジプトの砂漠の農村で食べたブドウが、「世の中には想像を絶した、おそるべき美味というものがある」とし、あまりにうまかったのでカイロで探したら見つけることができなかったそうです。
そうしたところ、山梨の友人から届いたブドウがエジプトで食べたブドウとそっくりで味も負けないくらいにすばらしいブドウであったそうです。
そのブドウが「甲斐路」であり、「どういう人が品種改良をしてくれたのか、日本にいてこういううまいブドウがくえるとはおもってもみなかった。」と感想を漏らしています。
寒河江善秋さん、お答えしましょう。
「甲斐路」は、山梨の植原葡萄研究所の先代植原正蔵氏が交配した「最高傑作」です。
今では、善秋さんの故郷近くの赤湯「紫金園」さんでも作っています。
純粋の欧州種というのも、「奇跡の血統」と言えますね。
この季節、冷やして飲むと本当に旨いですよ。
先日、このワインの隣に写っている「葡萄全書 下篇 醸造法(川上善兵衛著)」を、店に来られた、とあるワイナリーの醸造担当の方に見せたら、ビックリしていました。
※今回のブログのブドウの内容については、上記植原葡萄研究所さんのHPを参考にさせていただきました。ブドウの品種に関して、大変ためになるホームページです。現代版の川上善兵衛氏のような存在ですね。
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