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2008年8月

2008年8月31日 (日)

蒸米重視派による戦前最後の酒造技術書

昭和初期に発生した「蒸米」を重視した酒造りの二大潮流。

一つは、鹿又親鑑定部長が率いた東京税務監督局鑑定部

ここからは、上原浩氏の師であった有松嘉一氏や平岡満一氏、杉山晋朔氏らを輩出しました。

もう一つは、中村政五郎

中村政五郎氏は丹波杜氏への影響力が強く、昭和5年に「蒸米から見た酒造」が出版された後には、灘の蔵元では、こぞって釜を大きくするといったように灘の酒造りへも影響を与えました。

そんな中、別の流れで、蒸米バカ技術者ともいうべき人物が登場します。

その名も「小出治彦」。

戦後に、岡山県で酒造りの指導に当たった小出巌氏の父。

戦前に最も評価の高かった酒米、赤磐雄町を産出した岡山県の工業試験所の先生です。

小出氏が昭和15年に今野商店出版部から発行した「経済酒造法」は、蒸米重視派による戦前最後の酒造技術書です。

Photo_2 この表紙がまた素晴らしい!

仕込桶の向こうに大海原。海に浮かぶ船は軍艦?あるいは輸送船?想像をかきたてられます。

第二章の「蒸きょう」に60ページ!を費やすという熱のいれよう、素敵です。

小出氏の主張するところは、蔵癖と言っているものの正体は蒸きょう方法の欠点にあり、ということです。

釜の容量、コマの規格、蒸気圧、蒸気温度、蒸きょう方法についての記述は、他の酒造技術書を凌ぐ細かい指示があり、確信に満ちています。

しかし、この本の記述には、現在の酒造には見られない謎があるのです。

同じく蒸米にこだわった杉山晋朔氏も首をかしげた謎については、後日ということで・・・。

とにかく、この本には、金言の数々がちりばめられているんですよね。

その一例として、

「製麹法のみに重点を置くより、蒸米の仕上げに重点を置き、理想の蒸米を造ったならば製麹は予想外に楽であって又糖化の持続性を発揮するものである。」

「毎日病気の治療に専念するより健康で明朗の日を送ることを研究した方が一番幸福でないかと思う。麹の病気直しよりも其前から病気の起こらぬ蒸米を造ることを研究しなさい、病気なんか考えずに健康増進を考えて置きなさい。」

「病気の起こらぬ蒸米」つまり「完熟蒸米」とは何であるかについても詳しく書いてあります。

この本が出版されたのが、昭和15年。

アルコール添加が始まる3年前のことでした。

本の名前が「経済酒造法」という名前なので、顧みられることがない酒造技術書ですが、酒造技術書の中でも著者の熱い思いが伝わってくる読み応えのある名著だと思います。

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2008年8月30日 (土)

北京五輪の金メダリスト現る!

何と!先ほど北京オリンピックの男子柔道の金メダリスト、石井慧選手が七右エ門窯に来店になりました。

昨日の山形県版のニュースで、山形工業高校柔道部と稽古したという映像が流れておりました。

突然の来店に一同大騒ぎでした。

私が思っていたより小柄で、よく世界の大男たちを倒したものだと、感心しました。

しかし、足のサイズが32cm!と、やはり規格外。これなら倒れないわけです。

私も柔道をかじった経験があるので、金メダリストの姿に興奮してしまいました。

世界のトップですよ、それも最重量級の。

今後も日本の柔道を守ってください。

Photo 石井選手から書いてもらった色紙。

「刀八毘沙門天」の文字が見えます。

ニュースによると、上杉謙信公を尊敬しているとのことで、今日、米沢の上杉神社へ向かうそうです。

私も私の子供も握手をしてもらったのですが、子供は「空手の金メダリストから握手してもらった」と喜んでおりました。

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2008年8月29日 (金)

今の日本酒には「手前の思想」こそ必要です

グルコース濃度と酸度で甘・辛を表現し、日本酒の味をコントロールしようとする動きが見られます。

しかし、グルコースの直接的な甘さは、現在の食生活のどこで発揮できるのでしょうか?

「つまみのいらない酒を造りたかった」

「十四代」の高木顕統さんがかつて講習会で話した言葉を思い出します。

己の目指す酒質を明確にし、日本酒業界において自分の位置を確立した「十四代」。

皆が同じような酒質を目指したら・・・。

私は思います。

「本当にうまいものは、最初はそれほどでもない。」のだと。

日本酒業界に必要なのは、味の構成を変えることよりも、食文化とは何か?和食の中の日本酒とは?といった、日本酒における文化論の再構築にあるのではないか、と考えます。

国酒だから日本人はもっと日本酒を飲まなければいけない、などという手前勝手な押し付けは避けたいものです。

Photo 落ちるリンゴをただ眺めていてはダメなんです。

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2008年8月28日 (木)

やっぱりやめられない「食べドレ」

少し暑さがぶり返してきました。

先日までの寒さには少し参りました。

急に寒くなるというのも寂しい感じがするものです。

Photo さて、今年、暑いときにお世話になったのが、当店で扱っている「食べドレ」です。

野菜のコクと酸味のバランスが良いので、何にでもあうのです。

暑い夏でも、豚肉の冷シャブにかけると最高でした!

意外な組み合わせは、カツオのたたき。

カツオの生臭みを消してくれます。

本当にどんな時にも重宝します。

この「食べドレ」が、先日、宮城県の「みやぎものづくり大賞」の加工食品部門の優秀賞を受賞しました!

「みやぎものづくり大賞」の加工食品部門の入賞は、グランプリと優秀賞合わせて5点のみ、と厳しい審査なのです。

ちなみに、5点の中には、浦霞さんの「純米原酒につけた浦霞の梅酒」も含まれておりました。

「食べドレ」は当店での評判もよく、回転が良くなってきました。

ともかく、食卓に一瓶「食べドレ」があるだけで豊かな食生活となります。

まだ、試してない方は是非!

記事を書いていたら、また食べたくなってきた・・・。

現在、通信販売(←こちらからどうぞ)しております。

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2008年8月27日 (水)

地方の地酒屋は存続できるのか?

日本酒の流通に変化が起きています。

現在、セブンイレブンネットで、はせがわ酒店さんのお酒が買えるのです。

送料・手数料なしで最寄のセブンイレブンで受け取れるという、消費者にとってはうれしい仕組みです。

今や飛ぶ鳥を落とす勢いのはせがわ酒店さんのお酒はクオリティも高いですし、良いことづくめですよね。

クオリティの高い酒をより多くの人に飲んで欲しい、というはせがわ酒店さんなりの考えがあってのことなのでしょう。

しかし、私は酒屋は対面販売が基本だと思っています。

ただ、私の店も通販免許を取得しましたので、何を言ってもやっかみになります。

私の店で取り扱っている「上喜元 米ラベル 純米吟醸」も、はせがわ酒店さんが経営するアイコーポレーション経由で仕入れています。

別にわたくしの店に来なくてもインターネットで注文して、近所のセブンイレブンで受け取れるのです。

私の不機嫌な顔を見なくてもすみますし、セブンイレブンのアルバイトのにっこりスマイルで酒を受け取るほうがマシかもしれないですね・・・。

酒屋は、ただ地酒を並べただけでは存続できない時代なのです。

今後、地方の地酒屋は果たして存続できるのか?

私は人と人とがつながる場としての酒屋を目指します!

今回の新しい流通によって旨い日本酒が身近となり、日本酒の消費量が向上し、業界の活性化につながることを望みます。

平泉寺の青空に映える百日紅(サルスベリ)がとてもきれいです。

Photo

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2008年8月26日 (火)

夢か幻か「楯正宗」

名前は大事です。

「六根浄」というネーミングは響きもよく自分でも結構気に入っています。

次に新商品を開発するとしたら何という名前で出そうかなどと考えることは結構楽しかったりします。

私が今、頭から離れないのは「楯正宗」というネーミング。

「たてまさむね」

「だてまさむね」から濁点をひとつ取っただけでこの緩さ加減・・・。

当店の二枚看板、「楯野川」と「山形正宗」とを合体した名前です。

かつて、サザエさんとバカボンが合体した「サザエボン」なるキャラクターが出た時に、個人的には大受けしておりました。

ヒット商品は意外性のあるところから生まれる。

「楯野川」の酒と「山形正宗」の酒をブレンドして、「楯正宗」。

大ヒット間違いなし・・・って、誰も賛成してくれないでしょうね。

今日は空想のお話ということで・・・。

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2008年8月25日 (月)

あらためて平清水(ひらしみず)の紹介

昨日は、強い雨が降り続きました。

雨にもかかわらずお越しになったお客様ありがとうございました。

ここ平清水では、雨が強く降った翌日は、いろんな場所で水が湧き出すのを見ることができます。Photo

平泉寺(へいせんじ)の放生池からも水が溢れ出ています。Photo_2

地名はその土地の特徴を表していることを実感します。

水が清らかで空気もいい。旨い酒もある。

いい所です。

さて、本日は新入荷の酒をご紹介します。

Photo_5

楯野川 源流 冷卸 中取り純米 1.8ℓ 2,940円(税込)

当店でもイチオシの「中取り純米 美山錦」の原酒を瓶詰めしたものになります。

「中取り純米 美山錦」が好きな人は飲まずにいられないことでしょう。

現在、「純米吟醸 出羽の里」1.8ℓ 2,940円(税込)も好評発売中です!

先日のばんこう花さんの酒の会で、大吟醸と間違えたほど完成度が高いです。

「出羽の里」のイメージが変わること間違いなし。

Photo_3 店の前から見えるリンゴの木。だいぶ実が大きくなってきました。

だいぶ秋が近づいてきましたね。

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2008年8月24日 (日)

思い込み

おとといの記事でうま味調味料について少しふれてみました。

うま味の本体を探り、昆布からうま味成分のグルタミン酸ナトリウムを取り出した池田菊苗氏の業績は尊敬します。

ただ、だしを取るという当たり前の行為が忘れられ、素材そのものの味を損ねるうま味調味料は、食育の視点からみれば、無条件に使用することは考えもののような気がします。

寝坊したときや時間がない時に使用するとか、あくまで、緊急避難的に使用するものだという認識があればいいのですが、日常的に使用した時に、味覚がかなり濃い味に慣らされてしまう感じがします。

これはあくまで私の思い込みなのですが、当店の「純米酒 六根浄」を「辛い」と表現する方は、味噌汁のダシはほんだしだけ、という人なのではないでしょうか?

ついでに、もう一つのわたくしの思い込みを言えば、カプロン酸エチルの高い吟醸酒を好む人は、うま味調味料の濃い味に慣らされた舌を持っている人が多いのでは?ということです。

同じように舌がビリビリしますからね。

とにかく、真の味は是淡なり、です。

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2008年8月23日 (土)

日本酒における辛口の語源

日本酒の甘口・辛口の分類には無理がある、と私は常々主張しております。

しかし、昔から日本酒の味を「甘口」「辛口」と言ってきたではないか?と思われる方もいらっしゃると思います。

私は、文献をひもとき、「辛口」と言われる由来を探ってみました。

そこで、これは!という一節がありましたのでご紹介します。

昭和45年に発行された「酒づくり談義」(柳生健吉著)という本の中に書いてありました。

「明治・大正頃の酒は辛かった」(p.339~p.340)の段から抜粋します。

「今になっても、酒が辛党を代表させられているのは、そんな頃(明治・大正)からの名残であって、暖冬が続いて盛んに醗酵を起し、いくら酒が辛くなっても、、昔はそれを調節する方法を知らなかったから、酒は辛くなり放題であったが、現在では醗酵中のモロミを氷で冷し、四季醸造蔵までできて、適当に醗酵を抑制するようになっているので、そんな辛い酒はなくなってしまったのである。」

読んでいただいてわかるように、「辛口」という表現は、昔の酒質で用いられた表現の名残りであることがわかります。

まともに造られた酒は辛くないのです。

「辛口」という表現を用いないことは、より深く日本酒を味わえるようになる第一歩であるように思います。

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2008年8月22日 (金)

うま味展覧会

昨日から、うま味発見100周年を記念して、国立科学博物館 産業技術史資料情報センター 展示ギャラリーにて 「うま味展覧会」が開催されています

うま味調味料は日本の10大発明の一つに数えられているそうです。

私は前のブログで、「旨味」のミステリーという題で、酒造技術書から「旨味」の記述が消えた理由を探ったことがあります。

先日に受けた清酒官能評価講習では、2006年2月に発表された「清酒の香味に関する評価用語および標準見本」をもとに講習が行われ、「うま味」という項目も現在では認められていることを確認しました。

しかし、「うま味」のサンプルで出てきたのが「コハク酸」を添加した試料でしたが、貝の旨味と言われる「コハク酸」は旨味に感じませんでした。どちらかというと、えぐい味でした。

現在の清酒の品質評価用語体系では、香りに該当する標準見本はありますが、「うま味」に該当する標準見本はまだないのです。

日本酒の「うま味」を構成する物質が複雑なことに由来するのでしょう。

日本酒の「うま味」の研究は始まったばかりなのかもしれません。

モルフォチョウのきれいな青色は青色の色素によって青に見えるのではなく、光の干渉という現象によって青色が反射されて見える色なのだそうです。

もしかしたら、日本酒の「うま味」も光の干渉のような現象によってもたらされる奇跡の味なのかも・・・。

Photo 奇跡と言えば、気仙沼「福よし」さんのさんま。

焼き方一つで他のさんまと全然味が違います。

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2008年8月21日 (木)

真っ直ぐに大きく育て

18日から20日の間、気仙沼へ行ってきました。

お盆を過ぎた気仙沼は涼しく過ごしやすいのです。

夜になると涼しい、というよりも寒いくらいです。

滞在二日目の19日は雨足も強く、午前中は家から出られない状態でした。

一日中、家にいても退屈ですし、子供はゲームばかりやっていましたので、雨が止んだ夕方に、子供たちとある場所へ向かいました。

今回、気仙沼へ来たら子どもたちを連れて行こうと決めていた場所です。

場所は「羽田神社(はだじんじゃ)」です。

国の無形民俗文化財に指定されている「お山がけ」をする神社です。

私も7歳の時、「お山がけ」に参加しました。

今は山形に在住し、子供を「お山がけ」に参加させることが難しいので、せめてお参りだけでもと思ってました。

ここにはさらに凄い木があるというのも子どもを連れて来たかった理由なのです。

県の指定文化財「太郎坊・次郎坊」という樹齢800年以上!の2本の大杉が本殿の境内にそびえているのです。

昔は、海からも見えたという大きな杉です。

Photo 下からみた羽田神社。本殿は下から見えません。かなりの急こう配の階段が待っています。足腰を鍛えるにはいい場所です。

しかし、車を降りたら、明らかに子供のテンションが下がっています。

「最初に上に着いた奴にデュエルマスターズカード買ってやるぞ!」

私の鶴の一声で、二人の子どもは、猛然と階段を登りはじめました。単純です。

Photo_2 Photo_3

Photo_4

階段の上に見える建物で、下から三分の二くらいのところ。

だんだん足が上がらなくなってきます。

  

Photo_5

ようやく本殿が見えてきました。

二本の大木も見えます。

何か強い動機でもないとここまで登る気がしないと思います。

しかし、そんな疲れも「太郎坊・次郎坊」の凛々しい姿を見ただけで吹っ飛びます。

本殿のある境内に到着し、正面に向かって右にあるのが「太郎坊」。写真では大きさを伝えられません。Photo_6

左にあるのが「次郎坊」。子供の大きさと比べてください。Photo_7

木の高さが45メートルぐらいあるということは、15階建のビルに相当するということですね・・・。

樹齢が古くて、こんなに真っ直ぐできれいな杉は稀なのではないでしょうか?

Photo_8

子どもたちが「太郎坊・次郎坊」のように、真っ直ぐに大きく育って欲しい、そう神様にお願いしたのでした。

「羽田神社(はだじんじゃ)」は、気仙沼の隠れた名所だと思います。

ちなみに、昨年、羽田神社のある羽田地区で取れた「コシヒカリ」が全国米・食味分析鑑定コンクールで最高賞の金賞を受賞し、それにならえと地元の農家の方たちが「日本一美味しい米づくり研究会」を先日、発足したそうです。

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2008年8月17日 (日)

日本酒の味は甘口・辛口だけでは表せないのでは?

昭和49年に甘口・辛口を数値化する試みを元・醸造試験所所長の佐藤信氏が行い、発表しました。

佐藤氏による甘辛推定式は、

Y=0.86S-1.16A-1.31

S=直接還元糖 A=酸度

この式から導き出された数値を、-3(非常に辛い)~0(どちらでもない)~+3(非常に甘い)に区分することで、甘・辛を推定するというものでした。

しかし、現在ではこの式によって甘・辛を推定することができないとされています。

その理由として、この式を導き出したサンプルの酸度、直接還元糖の濃度が、現在の日本酒とかなり異なっていることが挙げられます。

現在では、2004年に、宇都宮仁氏らによって発表された「新・甘辛度式」というものがあります。

新甘辛度式 AV=G-A

G=グルコース濃度、A=酸度

非常に単純明快な式であらわされています。

宇都宮氏らによれば、「清酒の飲用経験が豊富なパネル及び飲用経験が少ないパネルにより市販清酒の 官能評価を行い、甘辛表示と甘辛評価が異ならないことを確認した」ということで、有効な式であることが証明されたそうです。

しかし、私はあえて一言モノ申したいと思います。

酒を売る現場にいて、感じるのが、人によって甘・辛の基準が違うということです。

「辛口をください」とよく言われます。

はっきり言って、どの酒にするか困るんです。

日本酒には甘いという感覚は共通認識としてあっても、「辛い」っていう感覚は共通認識とはなり得ないのではないか?と思っているのです。

新甘辛度式が発表になった英語の論文には、辛口=Dry、やや辛口=Medium Dry 、やや甘口=Medium Sweet、甘口=Sweetとありますが、この英訳には違和感があります。

日本人が「辛口」と感じる時にはDryという感覚の人もいれば(パネラーは辛口=Dryという認識だったのでしょうか?)、Hot、Bitter、などを感じる人も含まれるのではないでしょうか?

「辛口」と表現する時に、日本語特有の曖昧さがあると感じます。

和食という「ダシの文化」の中では、味覚を甘・辛という単純な尺度では捕らえきれないのです。

私は、日本酒の味の本質は、「旨味」にあると考えます。

「旨味」というカテゴリーを無視して日本酒の味の尺度を設けてもあまり役に立たないと思います。

日本酒=Umamiという外国人にとって耳慣れない新たな味覚を積極的に宣伝することで、今後、どんどん海外に打って出れるのではないかとも考えます。

甘・辛というより日本酒の旨味の尺度を確立して欲しいものです。

※8月18・19・20日の3日間、「正酒屋 六根浄」は夏休みをいただきます。よろしくお願いいたします。

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2008年8月15日 (金)

老香と言われてもよくわからない

「老香」は「ひねか」と呼び、酒の貯蔵中に生じる香りです。

酒造業界に入ると、一般的に、老香はマイナス評価の香りとして覚えさせられます。

一部の蔵元さんでは、老香を個性だと開き直っているようですが・・・。

先日の講習では、この老香に関する最新の知見を得ることができました。

今までは、老香の主要成分としてソトロンの存在が挙げられていたのですが、実際には、ポリスルフィド(たくあんのような匂い)やイソバレルアルデヒド(生老香の主成分)の存在が大きいとのことでした。

前から、良い老香(=熟成香)と悪い老香(=老香)ということが言われていたので、説明を受け、すっきりとしました。

老香はMC炭で取れるということですが、ソトロンはMC炭で取れない、という説明も経験上から納得できるものでした。

講習会の講師を務めた宇都宮仁先生の言葉が印象的でした。

「老香と言われてもよくわからない。」

私も老香という表現を、できるだけ使わないよう気をつけたいと思いました。

老香という漠然とした評価用語を用いることは、プロのきき酒のレベルとは言えない時代が来るのかもしれません。

でも、「この酒はポリスルフィドの香りがします。」って言われても、旨そうじゃないですよね。

※8月18・19・20日の3日間、「正酒屋 六根浄」は夏休みをいただきます。よろしくお願いいたします。

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2008年8月13日 (水)

味本不生(あじほんぷしょう)の境地

東京での講習会疲れがまだ続いています。

講習会では、いわゆる分析型のきき酒の手法の勉強でした。

酒にある香りの特定と由来、強弱を見る。

酒における主客一致の精度を高める訓練。

正直、だいぶ戸惑いました。

今までやっていた評価型とは異なりましたから。

知らず知らずのうちに、きき酒の仕方に癖がついていることがわかっただけでも出た意味がありました。

今回の講習会を通して学んだこと。

酒をみるときには、「思い込み」という主観が客観として現れる、ということでした。

「見る」という行為を通して見える客観は、自分自信の意思とは関係なく、「疑えないもの」として現れ、他人と共有していることを疑うことがありません。

しかし、「酒をきく(みる)」という時には、個人の身体性に影響されやすく、加えて、「思い込み」という主観で、自分の都合の良い味を構成してしまうのです。

味覚において、共通認識が生まれづらいのはここにあります。

たとえば、カプロン酸エチルの香りが好きな人が、香りが良いという特性と甘味に着眼することで、無意識に苦味やエグ味に目を閉じてしまっているということがあります。

「この酒は良い酒である」と信じた時には、無意識に自分の都合が良いように味覚を構成しているのです。逆の場合にもあてはまります。

このことから言えることは、とにかく、第一印象が大事ということです。

最初で失敗した経験をもつと、次に飲んだときにも同じ欠点を探すようになります。そういう見方で酒をみると欠点を無理やりにでもひっぱり出してくるものです。

他社より他の酒より「より良いもの」であるという保証。

これに尽きると思います。

「味覚は本能ではなく、個々人により言語化された恣意的な感覚である。」

本日、大阪からお越しになったお客様ありがとうございました。

当店の第一印象はいかがでしたでしょうか?

※8月18・19・20日の3日間、「正酒屋 六根浄」は夏休みをいただきます。よろしくお願いいたします。

Photo

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2008年8月10日 (日)

酸い、粋、酔~っと

  Photo_2

只今、「正酒屋 六根浄」では、東京で買った手拭いを店内のインテリアとして使ってます。

この手拭いの文様は、源氏香文様で、源氏物語の夏にちなんだ巻名を表しています。

なんだか涼しげでいいですよね。

Photo_3 これは、線香花火が書いてある手拭い。

手で染めているので一つ一つ微妙に色合いが違っているんです。

実物はもっと鮮やかな色合いです。

この手拭いを買った場所は、日本橋浜町。

東京にいる人でもあまり縁がない場所かもしれません。

都営新宿線の浜町駅を出てすぐのところにある「浜甼高虎(はまちょうたかとら)」さんがやっている、ギャラリー「虎の檻」。

先日、テレビで見て、絶対ここへ来たいと思っていた店でした。

ドアに手をかけたら鍵がかかっていて、あれ?やっていないのかな?と思ったら、中の店員さんが鍵を開けてくれました。

テレビの影響でお客さんが思いのほか多く来たらしく、「テレビも良し悪しですね」とすこし困惑ぎみでした。

店内は素敵な文様の手拭いがたくさんあり、目移りしてしまいます。

私が山形から来たと言ったら、、トンボの柄は「トンボは勝ち虫と言って縁起が良いとされているんです」など、色々とアドバイスをしてくれました。

結局、5点の手拭いを買いました。

なんだか手拭いコレクターになってしまいそうです。

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2008年8月 9日 (土)

「清酒官能評価講習」に行ってきました

お久しぶりです。

実は、火曜日から金曜日まで東京へ行っていたんです。

その理由は、「清酒官能評価講習」を受ける目的でした。

Photo 場所は、王子の滝野川。前の醸造試験所があったところです。

9年前にも40日間、酒造講習を受けた懐かしい場所です。

Photo_3 醸造試験所跡地公園に接した酒類総合研究所 東京事務所で講義を受けました。

人数は、12名という少人数。

来ている面々も錚々たるメンバーでした。

小売店としての参加は、私がおそらく初めてなのではないでしょうか。

朝から晩まで「きき酒」に関する講義と試験の繰り返し。4日間。

はっきり言って、疲れました・・・。

なにが疲れるかって、試験で答えがはずれたときの心理的な疲れがどんどん蓄積されていくんです。

通常、自分のきき酒能力を疑う機会がないですから、試験でそれがあっという間に否定される。参りました。

通常のマッチングには結構自信があったのですが、順位法と言って、香りや味の強弱の判定に悩まされました。

しかし、現段階での自分のきき酒能力の欠点が明らかになったのは大収穫でした。

まだまだ向上の余地があるということがわかったので、より一層努力していこうと思います。

この試験に合格した人は本当にきき酒のプロです。

お金と時間があればまた受けたいんですけどね。

この講習に出たもう一つの収穫は、隣に座った方との出会いです。

30歳という若い杜氏さんでした。まだ全国的には名は知れてなくても良い蔵があったのです。

その話は追々したいと思います。

Photo_2

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2008年8月 4日 (月)

よろしく清酒

本日、山形税務署で「酒類販売免許の条件緩和通知書」を受け取ってきました。

つまり、本日より通信販売が可能になったということです!

ただ、今回は清酒のみ条件緩和となりました。

今まで、電話でお断りさせていただいたかたには大変ご迷惑をおかけしました。

お店に来られない方は、通販をご利用ください。

さて、昨日入荷したニューフェイス。

とうとう来ました「上喜元」さん。 Photo_2

上喜元 純米吟醸 雄山錦 55% 1.8ℓ  2,730円(税込)

上喜元 純米吟醸 雄山錦 55% 720ml 1,365円(税込)

Photo上喜元 中取り 生酛 純吟 雄町 50%  720ml 2,000円(税込)

雄山錦のほうは、米の旨味たっぷりで後口も爽やか。

雄町は、香りに乳酸発酵に伴うクセをやや感じますが、味の厚みが素晴らしい!純吟でも是非、燗にしていただきたいお酒です。

さすが、佐藤正一さん。本当に生酛造りから吟醸造りまで、レベルが高い蔵です。

やっぱり、和釜使用の酒蔵の酒は旨い!!!

Photo_3

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2008年8月 2日 (土)

酒の本を集めることになったきっかけ

「正酒屋 六根浄」にお越しになったお客さんは、お酒のアイテム数の少なさと本の多さにびっくりします(苦笑)。

本日は、酒の本を集めるようになったきっかけについて語りたいと思います。

Photo きっかけは、十数年前、坂口謹一郎著「愛酒樂酔」の愛蔵版を気仙沼の「おけい茶屋」さんで見せられたことでした。

「この本は銀座の日本酒センター(当時、銀座にありました)にも無く、手に入らない本だ。」

そういう風に言われ、何とかしてでも手に入れたくなったのです。

最初は、神田の古本屋を手当たりしだいあたってみました。

神田の古本屋さんも「坂口謹一郎」の名を知る者はほとんどいませんでしたし、あったのは岩波新書「日本の酒」と「世界の酒」くらいでした。

しかし、見たこともない酒の本がいっぱいありましたので、最初は手当たり次第買いました。

今から考えるとわけのわからない酒の本もいっぱい買いました。

5,000円で買った本が、次の店へ行ったら1,500円ということもしばしば。

本当に買う必要がある本かどうか、値段が妥当なのか、わかるまでにはだいぶ時間がかかりました。

自分の中に基準ができるまでは一定の投資が必要です。何でも一緒なんでしょうけれど。

今では、ネットで探せる時代ですので、いい時代になりました。

Photo_4 Photo_5  

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2008年8月 1日 (金)

紫金園さんのぶどう狩りが始まりました

今日から8月。

いよいよ夏本番。

本日から赤湯観光ぶどう園「紫金園(しきんえん)」さんでぶどう狩りを開始いたしました。

Photo「紫金園(しきんえん)」は、当店で扱っている「桜水ワイン」を造っている「須藤ぶどう酒工場」さんのぶどう畑です。

昨日、須藤さんの社長ご夫妻から、取れたばかりのデラウェアを届けていただきました。

房も大きく、甘味と酸味のバランスがとても良いデラウェアです。素直に旨いです。

山形にいるとデラウェアを食べる機会が多く、デラウェアの味にはうるさくなりました。(逆に言えば、高級品種を食べる機会が少ない・・・)

同じ品種でも、ただ甘いだけとか酸味が強かったりと結構違うものなのです。

赤湯地区は、やっぱり気候が良いのでしょうね。気候だけではなく、当然、作り手の手間暇がかけられて、美味しいブドウになるのでしょうが。

今度、家族でぶどう狩りに行ってこようと思います。Photo_2

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