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2008年8月17日 (日)

日本酒の味は甘口・辛口だけでは表せないのでは?

昭和49年に甘口・辛口を数値化する試みを元・醸造試験所所長の佐藤信氏が行い、発表しました。

佐藤氏による甘辛推定式は、

Y=0.86S-1.16A-1.31

S=直接還元糖 A=酸度

この式から導き出された数値を、-3(非常に辛い)~0(どちらでもない)~+3(非常に甘い)に区分することで、甘・辛を推定するというものでした。

しかし、現在ではこの式によって甘・辛を推定することができないとされています。

その理由として、この式を導き出したサンプルの酸度、直接還元糖の濃度が、現在の日本酒とかなり異なっていることが挙げられます。

現在では、2004年に、宇都宮仁氏らによって発表された「新・甘辛度式」というものがあります。

新甘辛度式 AV=G-A

G=グルコース濃度、A=酸度

非常に単純明快な式であらわされています。

宇都宮氏らによれば、「清酒の飲用経験が豊富なパネル及び飲用経験が少ないパネルにより市販清酒の 官能評価を行い、甘辛表示と甘辛評価が異ならないことを確認した」ということで、有効な式であることが証明されたそうです。

しかし、私はあえて一言モノ申したいと思います。

酒を売る現場にいて、感じるのが、人によって甘・辛の基準が違うということです。

「辛口をください」とよく言われます。

はっきり言って、どの酒にするか困るんです。

日本酒には甘いという感覚は共通認識としてあっても、「辛い」っていう感覚は共通認識とはなり得ないのではないか?と思っているのです。

新甘辛度式が発表になった英語の論文には、辛口=Dry、やや辛口=Medium Dry 、やや甘口=Medium Sweet、甘口=Sweetとありますが、この英訳には違和感があります。

日本人が「辛口」と感じる時にはDryという感覚の人もいれば(パネラーは辛口=Dryという認識だったのでしょうか?)、Hot、Bitter、などを感じる人も含まれるのではないでしょうか?

「辛口」と表現する時に、日本語特有の曖昧さがあると感じます。

和食という「ダシの文化」の中では、味覚を甘・辛という単純な尺度では捕らえきれないのです。

私は、日本酒の味の本質は、「旨味」にあると考えます。

「旨味」というカテゴリーを無視して日本酒の味の尺度を設けてもあまり役に立たないと思います。

日本酒=Umamiという外国人にとって耳慣れない新たな味覚を積極的に宣伝することで、今後、どんどん海外に打って出れるのではないかとも考えます。

甘・辛というより日本酒の旨味の尺度を確立して欲しいものです。

※8月18・19・20日の3日間、「正酒屋 六根浄」は夏休みをいただきます。よろしくお願いいたします。

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