日本酒における辛口の語源
日本酒の甘口・辛口の分類には無理がある、と私は常々主張しております。
しかし、昔から日本酒の味を「甘口」「辛口」と言ってきたではないか?と思われる方もいらっしゃると思います。
私は、文献をひもとき、「辛口」と言われる由来を探ってみました。
そこで、これは!という一節がありましたのでご紹介します。
昭和45年に発行された「酒づくり談義」(柳生健吉著)という本の中に書いてありました。
「明治・大正頃の酒は辛かった」(p.339~p.340)の段から抜粋します。
「今になっても、酒が辛党を代表させられているのは、そんな頃(明治・大正)からの名残であって、暖冬が続いて盛んに醗酵を起し、いくら酒が辛くなっても、、昔はそれを調節する方法を知らなかったから、酒は辛くなり放題であったが、現在では醗酵中のモロミを氷で冷し、四季醸造蔵までできて、適当に醗酵を抑制するようになっているので、そんな辛い酒はなくなってしまったのである。」
読んでいただいてわかるように、「辛口」という表現は、昔の酒質で用いられた表現の名残りであることがわかります。
まともに造られた酒は辛くないのです。
「辛口」という表現を用いないことは、より深く日本酒を味わえるようになる第一歩であるように思います。
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