« 君命も受けざる所あり | トップページ | 滝山の自然と蕎麦 »

2009年6月16日 (火)

定見深睡

「定見深睡(ていけんしんすい)」

この言葉に出会ったのは、大学1年の時に読んだ勝海舟の「氷川清話」でした。

なぜか印象深くて、今でもふっと頭に浮かぶ言葉なのです。

意味は、読んで字のごとくで、一つの物の見方に凝り固まっていることは深い眠りに入っているのと同じことだ、ということです。

他の本で出てきた事がなかったので、勝海舟の創作した言葉かな?と思っていたところ、勝海舟と交流があった人物の論文中にその言葉が出てきて驚きました。

その人物の名は、「川上善兵衛(かわかみぜんべえ)」

新潟「岩の原葡萄園」においてブドウの品種改良に生涯をかけ、日本のワインの父、とまで言われる人物です。

私は川上善兵衛氏が書いた「葡萄提要」「実験葡萄全書」を所蔵しており、本から伝わってくる情熱の前に圧倒されるばかりです。一流の職人であるとともに一流の研究者であった姿を見ることができます。

今まで川上品種について書いてある論文を探す事ができず困っていたところ、やっと入手することができました。

論文の最後の部分は「何ぞ謂はんや世人は予が定見の裡に深睡すと。」で締めくくられています。

様々な苦難、世間からの中傷誹謗があったのでしょう。しかし、生涯をかけて川上氏は現在にも伝わる偉大な川上品種を残すことに成功したのです。

川上品種22種類を交配番号とともに列記します。

ローズ・クィーン NO.413

レッド・ミルレンニウム NO.6421

ネオ・アレキサンドリア NO.4254

ホワイト・ベーリ NO.4289

マスカット・ベーリA NO.3986

マスカット・ベーリB NO.4031

ゴールデン・ベーリ NO.4074

ブラック・クィーン NO.4131

ローズ・シオター NO.4192

グレート・シャスラー NO.4777

レッド・トケー NO.499

レッド・バレスタイン NO.7920

甲州・サバルカンスキー NO.117

ネオ・サバルカンスキー NO.8352

ブラック・サバルカンスキー NO.8445

エキストラ・フォール NO.7

ベーリ・フォールA NO.7879

ベーリ・フォールB NO.7882

ベーリ・アリカンテA NO.55

ベーリ・アリカンテB NO.56

カールマン・アリカンテ NO.7431

アリカンテ・ビークン NO.7889

見たことのある品種は何種類あるでしょうか?

故・麻井宇介氏は「ワイン余話」において、

『昭和30年代前半、私が山形県下で甘味ブドウ酒の原料に使う赤ワインを仕込んでいた時には、「マスカット・べリーB」がまだ栽培されていました。

 その頃、山形のブドウ農家は川上品種を命名された名前で呼ばず、交配番号で呼んでいました。例えば「マスカット・べリーA」は3986、「ブラック・クイーン」は4131です。残りの20種は、もう殆ど消滅してしまいました。

その中で、私が仕込んだことのある品種は、山梨県下で「べリー・アリカントA」(55)、「ローズ・シオター」(4192)、長野県下で「レッド・ミルレンニウム」(6421)しかありません。川上善兵衛の生涯をかけた苦闘を思うと、何とも空しい気持ちになります。』

麻井宇介さんこと浅井昭吾氏はメルシャンでしたので、メルシャンの前身は大黒葡萄酒・・、とすると、大黒葡萄酒に蔵を貸していた水戸部酒造で「マスカット・べリーB」を使用した葡萄酒を造っていたかもしれないですね。

私は、たかが、マスカット・ベリーAと侮っている人は、定見深睡の状態にある人のように思えます。

ところで、当店で販売している紫金園さんの「たわわ」は、マスカット・ベーリA100%のぶどう原液。紫金園さんには川上善兵衛さんが直接持ってきたマスカット・ベーリAの古木が現存します。

「紫金園」須藤さんの愛情と川上善兵衛の情熱が込められている「たわわ」。自然の甘みを凝縮した感動の甘さです。

数量に限りがあります。早いうちにおためし下さい。

南陽市赤湯 紫金園「たわわ」500ml 1,050円Photo

 

|

« 君命も受けざる所あり | トップページ | 滝山の自然と蕎麦 »

グルメ・クッキング」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/516076/45355594

この記事へのトラックバック一覧です: 定見深睡:

« 君命も受けざる所あり | トップページ | 滝山の自然と蕎麦 »