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2009年9月15日 (火)

酒母は日本酒のダシである

日本酒の製造において酒母育成というのは酒の個性を決定する大きな意味を持ちます。

酒母は「優良酵母の純粋培養」という重要な工程でありますが、私はもうひとつ大きな役割を持つと考えます。

それは、酒母育成は日本酒のダシ取りの工程でもあるということです。

その視点から見ると、灘流「生もと」という手法に大変魅力を感じます。濃醇にしてまろやか、まさに醍醐味という表現にふさわしい酒となるのが「生もと」だと思います。

逆に、酒母のダシ取りという重要性を理解しないと、プンプン系酵母の安易な使用により、副産物であるカプロン酸によるエグ味で酒の旨味を台無しにしていることを気づかない・・・。

平成5年から平成18年までのたった10数年で日本酒の課税数量が半分に減ったのです。

何が原因なのか?

私の説は、級別廃止とともに日本酒のギフト商材としての価値が低下し、プンプン系の台頭が日本酒離れに拍車をかけた、というものです。

級別制度の下、アルコール添加と活性炭とオリ下げにより酒質矯正された酒が日本酒として売られていました。戦後の昭和時代は、日本酒の「旨味」の喪失の時代であったと言えます。

しかし、そんな技術下で優位性を保てたのが灘流の「生もと」だったのではないでしょうか。活性炭とオリ下げでも「コク」の残滓が残り、日本酒らしさを保つ事ができた。

しかし、級別廃止により、事情が変わります。

活性炭を使用しないオリ下げなしの「旨味」のある酒が多く出現してきました。たとえば「田酒」は、級別廃止後に勃興した新勢力の代表格と言えます。

もう一つは、ダシ的要素を排除したつまみのいらない濃醇甘口酒の流行。私が批判するプンプン系がここに該当します。

これらの非凡な酒が大手の平凡さを浮き上がらせる結果となった・・・。

ギフトで特級酒に代わると思われた大吟醸は、保存の難しさから蔵元の望む味とは程遠い酒質に変わり果ててから消費者の口へ・・・、これが日本酒の最高峰の味なのか?

日本酒はこのままマイナーでマニアックな酒へと向ってしまうのでしょうか?

意外かも知れませんが、私は実力のある大手蔵の復権が鍵を握っていると思っています。

どこでも手に入る2リットルパックの日本酒が焼酎と同じくらいに安心して飲めるようにすること。

「生もと」の手法が現在、果たして市販酒の味に最大限に生かされているのか?

昔のままでいいのか?どこまで遡ればいいのか?

山形県鶴岡出身の中村政五郎氏が守り抜こうとした技法と味、灘流「生もと」。

酒造技術史を紐解くことでヒントが出てくる気がします。

大手のお蔵さん頑張ってください。

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コメント

>それは、酒母育成は日本酒のダシ取りの工程でもあるということです。

すばらしい!! ナイスな表現。

まさしく、決め手は、ダシ取り。

>「生もと」の手法が現在、果たして市販酒の味に最大限に生かされているのか?

いいですね~。とっても同感です。

>どこでも手に入る2リットルパックの日本酒が焼酎と同じくらいに安心して飲めるようにすること。

これも、何と言っていいか、私には、わがまま店主さんさのような表現力というかボキャがないのが悔やまれます。
今までのブログを見てると尚更、グー!ですね。
思わず、拍手しちゃいました(笑)

投稿: おやじ | 2009年9月16日 (水) 19時15分

おやじさん、いつもコメントありがとうございます。

ご賛同いただきありがとうございます。

ところで、以前、杉山晋朔先生の「酒造の栞」を見かけたのことですが、昨日、ある蔵元さんが復刻版を入手したとのブログでの記事を読みました。

私はコピーを持っているのですが、製本されているのは持っていません。

杉山フリークとしては復刻版でいいので入手したいと思っています。

販売元、値段等教えていただけるとありがたいです。

よろしくお願いします。


投稿: わがまま店主 | 2009年9月17日 (木) 11時45分

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