「苦味」は「完全なる蒸米」によって克服できる!!
昨日、アサヒビールの荻田伍社長が山形に来ていたという記事を新聞で読みました。
私は荻田社長が「The21」11月号の記事の中で、「お客様の声を聞く側が、『俺たちは世界一のビールをつくっているんだ、味がわからないお客のほうが悪い』なんて思っていたら、いくらコクとキレが求められているという調査結果が出ても、きちんと受け取れるわけがない」と言っていたのが印象的でした。
日本酒業界もこの発言に見習うべき点があると思いました。
「日本酒は旨い、日本固有の伝統をもった文化的にも素晴らしいお酒だ。」おそらくほとんどの蔵元さんはこう考えていることでしょう。
しかし、次のようにも思っています。「何で消費者は日本酒を飲んでくれないのだろう?」と。
ほとんどの消費者は日本酒を次のように思っているのではないかと推測します。
「日本酒は旨いのかな・・・、たぶん旨い酒なんだろう。でも、飲みすぎれば頭痛がするし、次の日を考えるとちょっと・・・。」
消費者が日本酒を飲んだ時や飲んだ後に感じる日常的に起こる問題に対応できていないんです。
日本酒業界は、何かあると、伝統や文化といった超越項にすがろうとします。しかし、それだけでは、もう何の解決にならないことを認識したほうがいいです。
そこで私からの提案です。
《「旨味」や「コク」からの脱却》
かなり誤解を与えそうな表現です。
決して、欠点がある酒や炭を使うことを推奨しているわけではありません。
アサヒビールのスーパードライの成功例を参考にすべきだということです。
ドライが出る前は、キリンラガーの独壇場でした。キリンラガーの特徴は「苦味」でした。私もビールを飲み始めた頃は、キリンラガーは苦味が強いと感じていたものです。
その当時は、「ビールは苦くて当たり前、苦いのがいいんだ」という飲み手の常識があったような気がします。しかし、その裏では、「この苦味がもう少し和らいだら、もっとおいしく飲めるのにな~」という人達が増えてきており、その声を敏感に感じ取って商品化したのがスーパードライでした。
その後は一気の逆転劇。ビール業界の勢力図を変えてしまいました。
スーパードライの普及によるビールのソフト化は、日本酒消費にも影響を与えたと私は考えます。
キリンラガーの時代は、ビールの苦味が気になったら日本酒へシフトしていたのが、スーパードライになってからは、最初から最後までビールという人が多くなったのではないでしょうか。今ではビールからチューハイというスタイルも自然な流れとなりました。20年前は男なら邪道というか軟弱と思われる飲み方でしたが。
スーパードライが教えてくれたのは、「飲み手の潜在的ニーズの掘り起こし」。
《「旨味」や「コク」からの脱却》が意図するのは、日本酒は水で割ったらダメ、とか、ロックで飲むのが邪道だ、とか、良い酒は燗にするともったいない、という日本酒の一般的な常識を解いてあげることが大事で、現在の日本酒の不自由さを解消するための発想の転換ということになります。
「旨味」や「コク」にこだわると自分の体に応じたアルコール度数にすることができないですからね。
そこで大事になってくるのが、プンプン系のようなヘンテコな酒ではなく、薄まったときでも飲みやすい状態をどのように原酒で造り上げるかということになります。
ここでもやっぱり大事なのは「蒸米」の仕上げなのです。
いかに苦味の原因であるイネグルテリン由来のペプチドを分解されやすい状態にするか。
澱粉をアルファ化する目的だけでない、酒の味に影響を与えるタンパク質の分解や脂質の分解も考えなければ、「完全なる蒸米」とはならないのです。
先日の酒類総合研究所の発表により、私が言ってきた「完全なる蒸米」にようやく光が当たりそうで喜んでいます。
しかし、苦味に関して感受性のない人が一定割合でいらっしゃるようなので、私の話はわかる人にわかる狭い話になります。
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コメント
刺激的な内容で、楽しいすね(笑)
>薄まったときでも飲みやすい状態をどのように原酒で造り上げるかということになります。
だいさんせ~い!
いや~、スッキリした(笑)
>先日の酒類総合研究所の発表により
ここでは具体的な内容は分からず、そういった知見が得られたということですね。
米のタンパク質を構成している成分の種類や比率にも影響受けるようで、その一つにグルテリンがあるということのようですけど。
まあ、いずれにせよ、現在の状況からすれば、現実的なことからしても、
>「完全なる蒸米」にようやく光が当たりそうで
というのはまず間違いないと信じます。
店主さんが今まで探し出してきたことも、これからですね。
ますます刺激的な内容を期待してます(笑)
投稿: おやじ | 2009年10月22日 (木) 18時16分
おやじさん、いつもコメントありがとうございます。
とにかく原料である蒸米の性質を見極めないことには味を組み立てることすらできないということなんです。
>米のタンパク質を構成している成分の種類や比率にも影響受けるようで、その一つにグルテリンがあるということのようですけど。
細かい点については、勢いで書いている部分もありますのでご勘弁ください(苦笑)。
投稿: わがまま店主 | 2009年10月25日 (日) 13時13分
>細かい点については、勢いで書いている部分もありますのでご勘弁ください(苦笑)。
すみません。個人的なやりとりならそんなこと敢て書き込みする必要ないのですが、店主さんのコメントを素直に受け入れる人がもし見ていられたら(特に製造に関わる人で)、もう少し自分で調べればもっと面白いこと(!?)があると・・・
蛇足でした・・・)
投稿: おやじ | 2009年10月26日 (月) 09時43分