« 2009年10月 | トップページ | 2009年12月 »

2009年11月

2009年11月27日 (金)

幻の「気仙沼おでん」

ご当地グルメというものがはやっているようです。

B級グルメというのでしょうか、味蕾に直接訴えかえるような味付けの濃い食べ物が多いように見えます。

「気仙沼ホルモン」もその一つ。

気仙沼では、皆が集まってバーベキューをする時は、味噌ニンニク味の豚のホルモン(腸、レバー、心臓が一緒に入っている)を焼き、キャベツの繊切りとウスターソースで食すというスタイルでした。

まさか、「気仙沼ホルモン」などという名前で発信されるものだとは思いませんでしたし、今でも他所にお出しできるような物ではないような気がします。私は、当たり前にそういうものだとして食べてきましたけどね。(この記事を書いた後で、来月に気仙沼で「気仙沼ホルモンまつり」が行われることを知りました・・・。皆さん、ホルモンを食べに気仙沼にGO!ですよ。本当に美味しいですから。私のお薦めは「ホルモン小浜」に「ホルモンお福」です。)

「気仙沼なんとか」と名づけるならば、食べ方というよりも地元で取れた食材を用いて、他に比べても恥ずかしくないような物にして欲しいと思っています。それもそこでしか食べられないような物。

たとえば、「福よし」さんの「気仙沼さんま」の塩焼き。そのサンマもはらわたの中がオレンジ色をした時が絶品中の絶品。おそらくサンマがサンマを超えた別物のように感じることだと思います。

しかし、このブログで毎回「福よし」さんでは芸がないですよね。

実は、皆さん、私の気仙沼でのイチオシは「気仙沼おでん」なんです。

新鮮な魚介類から取れる出汁による限りなく透明に近いおでん。

動物の肉はロールキャベツの中の鶏肉だけですので、上品な澄んで透き通ったその出汁の味といったら他にたとえようがありません。静かに深く、イメージするのは太平洋のキラキラ輝く明るくきれいな海そのもの。

おでんダネの練り物も自家製。山形にも一軒でもいいのでこういったおでん屋さんが欲しいといつも思っています。

「気仙沼おでん」でGoogle検索しても出てこない、おでんの名店。

昔からやっている店で雰囲気を壊されたくないので、今回は店の名前は公表しません。

インスタントラーメンを常に食べている人や味噌汁のダシがホンダシだけという人には合わないと思います。「純米酒 六根浄」を飲んで旨いと思える舌を持った方には自信をもってお薦めします。

気仙沼へ行った際には、探して見て下さい。

とりあえず、外観の写真だけ。Photo

名もない川に看板のないおでん屋さん。Photo_2

店の前。蛍光灯に店の名前が・・・この写真では見えません。

いや、画面の斜め横から見ると・・・う~む、やっぱり見えませんね。

Photo_3 これなんです。これを見るだけで涙が出そうになってきます。

涙で画像が滲んで見える・・・、いや、ただのピンボケですね。

自家製薩摩揚げによく染みた大根。

下にあるダシの色、澄んで限りなく透明に近い・・・。これが静かにグーッと深みを感じるダシ汁。

お店の女将さんに聞いたところ、少しだけ醤油を入れているとのことでした。塩味だけより丸みが出てカドが取れるのだそうです。

この店の味が合うか否か、まずはここをクリックですよ、奥さん。

奥さんは余計か・・・。

またまた、いやらしい記事を書いてしまった。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年11月26日 (木)

わがまま店主、マギー審司に先輩風を吹かすの巻

お久しぶりです。ロッド・スチュワートです。

もちろん、嘘です。

ロッド・スチュワートと言えば、「マギー・メイ」。

しかし、「マギー・メイ」と聞いてもピンと来る人はいないでしょう。今、マギーと言えば、「マギー審司」。

マギー審司と言えば、「気仙沼」。

ということで、定休日から昨日にかけて気仙沼に行っておりました。

わざわざマギー審司の名前を出さなくてもいいでしょう、と思われた方、雄町ください。

偶然に、仙台発の気仙沼線「南三陸一号」の私の座席の前席に、マギー審司君が座ったんですよ。

マギー審司君は私と同じ気仙沼高校の出身。

ちなみに主な気仙沼高校の出身者は以下の通りです。

 チャーミー(パンクバンドLAUGHIN' NOSEのボーカル、中退)

 守屋洋(中国文学者、知的いきかた文庫などに著作があります)

 生島ヒロシ(アナウンサー)

 生島淳(スポーツライター、生島ヒロシ弟)

 大友信彦(スポーツライター)

 村上弘明(俳優、時代劇の主役級を演じることが多い)

 千葉一伸(声優、私の一学年上)

 東孝(大道塾創設者)

  「お酒 丸山」さんの元バイト(王者の風格)

決して大きくない学校なのですが、多種多才な人材が生まれています。私服通学可の自由な校風で、楽しい高校生活でしたね。

マギー審司君はマスクをしていたのですが、いつもと同じ髪型なのですぐわかりました。

しかし、私の他、出発してから気仙沼に着くまで誰も気づく人がいませんでした。

私は仙台を出発して5分くらい経ったところで、本人の前に行き、周りが騒ぐといけないと思い、「マギーさんですね。」とは言わず、「三浦さんですね。」と言って本人であることを確認し、「正酒屋 六根浄」の名刺を渡しました。

少し驚いた表情を見せましたが、私は矢継ぎ早に「私も気仙沼高校で柔道部に在籍していたんです。3つ上なので一緒にいた時期はなかったんですけどね。(正確に言えば、私は2年途中で退部しているので柔道部の名を出すのはちょっとどうかと思いますが)」と先輩風を吹かしたところ、「ああっ、すみません!」とマスクを取って申し訳なさそうにお辞儀をしていました。

男子校だった気仙沼高校の柔道部では、後輩は先輩に合うたびに「チャース」と大きな声で挨拶しておりました。当時、先輩・後輩の関係は絶対的な上下関係があったんです。

私は「頑張ってくださいね。」と声をかけて席に戻りました。

写真を撮るのもどうかと思い、撮らなかったので証拠がないのが残念なのですが、ブログで帰省していることを確認できました。気仙沼にたった1時間しかいなかったんですね。

風・・・。

ロマンチックな風もあれば、台風の時のような迷惑な風もあります。

しかし、一番みっともないのが「先輩風を吹かす」時の風ですね。

わがまま店主、人間としての器が・・・ちいさくなっちゃった!

2111261 さて、仕事しますか、そろそろ。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年11月22日 (日)

コンパしちゃってごめん

嘘です。

いつも一人で飲んでいるだけですから・・・。

一昨日の夜は、PTAの臨時の集まりの後、一人、山形市七日町にある「お酒 丸山」さんへ。

別名「ダンチュー丸山」または「丸山劇場」

全国的にも珍しい劇場型居酒屋。

店主の丸山さんとアルバイト店員との掛け合いが楽しいお店です。

アルバイトのキャラクターの持ち味を時間をかけて最大限に引き出す店主の丸山さんの力量が見ものなんです。

時には、アルバイトでいながらにして店主の存在がかすむような王者の風格を備えたアルバイトが出てきたりする。

ですので、1回やそこらではこの店の魅力を知ることができません。

学生のアルバイト君達が丸山さんの厳しい指導の下、お酒の知識を得ながら立派に成長していく姿を見ると、「丸山劇場」というよりも「丸山ヨットスクール」と言いたくなる更生施設のようです(アルバイト君達は普段はごく普通の学生ですけどね)。

もちろん、酒、肴も一級品。かと言って、銘酒居酒屋にありがちな、俺は偉いんだぞ的な風でもない。

メニュー表、値段表など一切なし。しかも、清算時に驚くことが多いんですよ、えっ?この値段ですか?と。

客層が幅広く客筋もいい、これからも山形にずっとあり続けて欲しいお店です。

ただ、難点が一つ。

「純米酒 六根浄」がごくたまにしか置いていないこと・・・それだけです。

12月は「純米酒 六根浄」普及強化期間ですので、どうぞよろしくお願いします。

なんだかいやらしい記事になってしまいましたね。

| | コメント (3) | トラックバック (0)

2009年11月20日 (金)

サンバしちゃってごめん

ハンパ、サンバ、ルンバ、字面だけ似ているだけでまったく似てあらざるものです。

サウダージがなければサンバではない、こういう解釈でいかがでしょうか?ぜじさん。

しかし、一般的な日本人が考えるサンバは単に陽気でゴキゲンな曲のイメージがつきまといます。

我々の世代に刷り込まれたサンバの初体験・・・。

ジャック・デリダの「差延」を具現化したたぐい稀なる歌手、大場久美子はこの曲においてブラジルのサウダージを日本人特有の感情「含羞」に置き換える壮大な試みをしています。

「アーイェ オーイェ」全てを無効化する呪文のように歌いかける時、我々の中のルーティンな思考回路をぶち壊します。

こんなの絶対サンバじゃねーよ。暗黙知が心の中で叫びます。でも、何で見てしまうんだろう?聴いてしまうんだろう?単に恐いもの見たさなのか?いや、旨ければ何だったいい、可愛ければ何でも許されるの初心者絶対の法則が適用されているんだ、この曲には。

以上のような思いをしながら、最後の最後、1:49に見せる右手を頭に乗せて恥らう表情「サンバしちゃってごめん」=「含羞」に日本人である我々は最後に救われる思いをする。

これはサンバではない。しかし、この曲からサンバ人生が始まったっていい、そこから何を見出し学び感じるかは本人次第。

ということで、11月28日(土)の中原仁さんのブラジル音楽講座でしっかりとブラジル音楽、サウダージを学んできたいと思います。Photo

まだ、申込み受付中だそうです。

お近くの方は是非。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年11月19日 (木)

ハンパしちゃってごめん

サンバタウンぜじさんのブログでも書いてありましたが、私は12月16日から本格的に蔵に入ります。

ですので、純米酒普及活動およびプンプン系陳腐化計画は、一旦、小休止となります。

しかし、「正酒屋 六根浄」ファンの皆様、ご安心下さい。

12月は店舗での営業をしておりますし、ネットでの注文も常時対応しております。

もちろん、買いだめしておくのもいいですけれどね。

ところで、「ハンパしちゃってごめん」と言って思い出すのが、高部知子さん。高部知子さんと言えば「積木くずし」。「積木くずし」の原作者は、俳優の穂積隆信氏。穂積隆信氏と言えば、兄であったのが酒類評論家の故・穂積忠彦氏でした(記事のタイトルから穂積忠彦氏までを即座に連想できる人は酒オタクです)。

穂積忠彦氏は酒に関する著書多数で、「美味しんぼ」でも酒の先生として登場する人物です。

穂積氏は、今からおよそ30年前に「呑んべえが語る酒学入門 本物の酒を求めて」(健友館)という、文化としての酒の視点から酒の歴史や当時の酒の問題点をえぐり出した快著を送り出しました。

東京大学農学部出身で鑑定官を経験している方が書いたので、発酵に関する知識はもちろん酒税のあり方に関しても大変ためになる本です。私が買ったのは1996年頃で、酒造りの道を目指し、酒の本を買いあさっていた頃に出会った本でした。

本が発行された当時(昭和55年)、世の中の流れとして本物志向への高まりとともに梁取三義氏や雑賀進氏らの著書による三増酒糾弾の流れがあったものの、清酒に添加する原料アルコールが何の原料から出来ているか、まで詳しく記述している本はなかったと思います。

ブラジルのガソール(ガソホール)に使用するモラセスアルコールが日本酒にぶち込まれているという、しっかりとした知識をもった技術者側からの告発。

ある飲み屋さんで聞いた話として、鑑定官上がりでアルコール供給会社の顧問になった人が「あれは飲まないほうがいい」とその飲み屋さんに来て言っていたそうです。どういう意味かは知りませんが。

しかし、あまりこの本による一般の人へのアピール、浸透度は低かったようです。やはり、文化云々よりも、旨ければ何でもいい、法律で定められている範囲なら問題ないでしょう、アル添も旨くなるんだったらいいんじゃないの?という人が多数だったからでしょう。

それでも私の経験上、頭で考えるより身体は正直なものだと感じます。私の場合、アル添酒を飲んだ次の日は頭痛がします。プンプン系も次の日のダメージが大きいのです。ですので、人にアル添酒やプンプン系を薦められません。

口に入るものへの無意識的な遡及による拒否反応がそうさせているのかもしれないですけれど・・・。

「本当の日本酒であるならば、酒の中に日本の産品以外のものが原料としてつかわれていないかどうか真剣に考えてみる必要があるはずである。」(上掲著p.60)

あれから30年、日本酒業界はすっかり変わって・・・ないです。

日本酒の現状が「ハンパしちゃってごめん」ですね。

| | コメント (6) | トラックバック (0)

2009年11月18日 (水)

Oh!Neil

まずは、この曲を聴いてください。

ニールと言えば、イライザ・・・いじわる兄弟。

ではなく、ご存知の方も多いと思うのですが、この場合のニールは、ニール・セダカだったわけです。幻と言われた曲が簡単に聴けてしまう便利な時代ですね。

ところで、愛知のニールさんこと(その記事だけ)、サンバタウンぜじさんのブログで当店のお酒の感想を書いていただきました。

音楽に携わっている人の感性は素晴らしいです。こっちがイメージしている通りに酒を通じてイメージが伝わっています。

当店の酒は、色々といじくっていないシンプルな酒。決してつまみがいらない酒ではありません。むしろ、つまみと合わせて飲んで欲しい酒です。気がつけば、食生活が豊かになっているような酒。

日本の伝統的な食べ物との相性がいいですからね。そこがプンプン系と異なる点です。

ただ、ぜじさん、飲み過ぎに注意してください。

おっと、ぜじさんのニールはYoungのほうでしたね。

ということで、本日の締めはこちら。

山ブラ会長ご夫妻から教えていただいたブラジル出身のluciana Souzaが歌う「Never die young」。デュエットしているのは、あのJT。画像は意味不明ですが、素晴らしい曲です。

ブラジル音楽のことなら、今ではすっかり心の中の「僕の友達」サンバタウンさんへどうぞ。

ニール・ヤングはニールなだけに、イイだしがでますね。

洋楽を聴かない人にはわけがわからない内容ですみません。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年11月16日 (月)

Blowin' In The Wind

本日、入ってきた大西洋クロマグロの漁獲枠が4割減になるというニュース。

日本一のマグロ漁船の基地である気仙沼でも、このニュースにがっくりきていることでしょう。

大西洋は関係ないんじゃないの?と言われそうですが、以前、「福よし」さんに来ていた水産関係の外国人にどこから来たのか聞いたら、「カナリア諸島から来た。」と言っていたので、関係大いにあると見ます(確かなことはわかりませんが・・・)。

しかし、今年の初頭の河北新報さんの記者がマグロ船に乗って体験取材した熱い特集「漁場が消える-三陸・マグロ危機」で、気仙沼の水産業が大変なことになっていることを知り、今後どうなるんだろうと思いつつも何もできないもどかしさを感じておりました。

私が子供の頃に「200カイリ問題で大変だ」と聞かされて育ちましたので、水産業が本当に良い時代というのを知りません。

それでも、私の同級生の親には遠洋漁業に携わっている人が多い時代で、マグロ漁を含めた水産業は身近な職業だったわけです。

まったく今から考えるとおかしなことなのですが、私の学区では、同じ一次産業である農業をしている家の同級生は田舎者扱いをされていました。皆、田舎者だったわけなんですけれど・・・。

まあ、それほど気仙沼では、漁業がメジャーな男の職業だったわけです。

現在のマグロ漁船に乗っているのは、地元の人よりインドネシアからきた船員達に取って代わられているようです。

大変な仕事の割には、その苦労を伝える人もいなかったですからね・・・。

それに比べりゃ酒造りはロマンを語ってくれる人も多いので恵まれています。

普段、食する魚を誰が獲ってきたんだろう・・・、食べる前にちょっぴりでも遠い海にいる猟師さん達の苦労に思いを馳せることがあってもいいような気がします。ちょっとでいいんですよ。旨いだの、まずいだの言う前に。人一倍うるさい人が言ってもダメか・・・。

そんな遠洋マグロ漁船の様子を伝える番組が本日の真夜中(地域で放送日が異なります)に放送されます。

テレビ朝日系列のドキュメンタリー番組「テレメンタリー2009」において遠洋マグロ漁船に乗った新人漁師を150日間に渡り取材した「風に吹かれて  ~遠洋マグロ漁師になりたい~」150日取材して30分間の放送・・・。

山形は木曜日。

朝早いというか夜遅すぎるというか、何でこんな時間なのでしょう?

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年11月14日 (土)

コップの中の嵐

私が9月に「清酒専門評価者」の認定を受けた際に、担当指導官からいただいたメールには、きき酒をする際の口に含む量について、「ちょうどよい1回の量は5.1mlから6.2ml。4.0ml以下だと少ないし7mlだと多い。1mlでは、もちろん出来ませんでした。」という内容が書いてありました。

きき酒は我流で行うのではなく、しっかりとした指導のもと行なうようにしなければ、正しい評価をするのは難しいとお考え下さい。

ところで、東北地方の蔵元で「清酒専門評価者」がいるのは、秋田県の新政酒造株式会社と山形県の「東光」で知られる株式会社小嶋総本店。

一昨日、発表になった東北清酒鑑評会で両蔵とも見事優等賞をもらっていますね。

「新政」さんは吟醸酒の部で優等賞をもらった酒もアル添をしないお酒なんだそうです。

私が言うのも何ですが、「清酒専門評価者」の存在は蔵元にとっても消費者にとっても心強い存在だと思います。

今回の東北清酒鑑評会の審査を担当した品質評価員が仙台国税局のHPに載っております。

各県の酒の先生、杜氏、蔵元のご子息、鑑定官で構成されています。

今後の鑑評会の品質評価員は、反復可能な官能評価ができる「清酒専門評価者」を優先していただくとありがたいです。

私は、5段階評価(1が評価が高く、5が評価が低い)のうち、ほとんどの酒に4か5をつけそうなので、審査員には不向きでしょうけどね。2111131

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年11月13日 (金)

酒こそ男の命

天皇陛下ご即位20年心よりお祝い申し上げます。

今年も豊葦原中国で取れた瑞穂のみを用いて大切に酒を醸させていただきます。技術の研鑽に努め、しかし技術に驕ることなく、豊穣なる瑞穂の国であることを感じさせる味を引き出せるよう精進して参りたいと思います。

さて、古来からの伝統産業である酒造業では、どの酒蔵にも神棚があり、神様をおまつりしております。

通常は、酒の神様の松尾様をおまつりしていることが多いようです。

かつては、神秘的で神の所業と考えられた発酵も科学的解明が進み、何でもバイオテクノロジーでコントロールしようとするのは、バベルの塔を建て神に近づこうとした所業のように見えなくもないです。

ところで、本日の山形新聞を読まれた方。気づかれましたでしょうか?

2111121 おっと、これは昨日の記事でしたね。神出鬼没のわがまま店主。

これではなく、東北清酒鑑評会の受賞の記事です。

吟醸酒部門と純米酒部門の優秀賞受賞数を合わせて計算することはナンセンスなんです。

しかし、吟醸酒部門での受賞率が秋田県の0.436に比べ、山形県が0.300。これは気になる数値です。

私は山形県の蔵元を責めるつもりなどありません。

鑑評会での審査方法の限界を指摘したいのです。

山形県の酒の神様、小関先生のコメントに注目してください。

「県内の各蔵元は狙い通りの酒を仕上げたが、審査では甘口が高評価される傾向になり、切れ味の良さが光る本県の酒は受賞数が伸びなかった面もある」

狙い通りの仕上げで切れ味の良さが光る酒が評価されない世界。

もうプンプン競争は止めましょう。本当に。もう限界に来ていますよ。

いったい誰が審査員をしているのかわかりませんが、そろそろ炎のプンプンストッパー「清酒専門評価者」No.22の私の出番なのではないか、とも考えています。

どなたか私を審査員に推薦してください。変えて見せますよ、まじめに。

甘口が評価されるのはスイーツだけで充分です。

昭和51年8月に発行された雑誌「面白半分」の中で、サントリー佐治敬三氏と開高健氏が当時の日本酒を罵倒している対談の中、

開高「(前略)甘さというのは安易な味で、幼稚の代名詞だということがわかってらっしゃらないみたい。」

佐治「嘆かわしいかぎりやねえ。」

というやりとりがあります。

この二人から言われたくないのですが、今日だけは釣られてやるか・・・。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年11月12日 (木)

人に感動していただこうと思うのなら、まず、自分でしっかりと「感動」しましょう。

プロの写真家、佐藤ケイジュ先生の言葉です。

着物を通じて様々なイベントを企画している「アトリエのあ」の鈴木ゆかりさんからご紹介いただき、何度か当店にもお越しになられました。

昨年、落語の会を「アトリエのあ」さんと共催したときにも、わざわざ東京から参加していただきました。

実際、お会いすると気さくな人で、私が最近、特に感じる、一流の人は決して偉ぶらない、を感じさせる方です。

本日発売の「和樂」小学館12月号にケイジュ先生の写真が載っております。是非、お買い求めになってご覧下さい。

先生の写真はすごく心に響く写真なんです。

ノイズが聞こえてこない、シーンという音のない音が耳の奥から聞こえてくるような写真。

なぜだろうと思っていたら、「アトリエのあ」さんの記事を読んで、なるほど、自分自身がしっかりと感動したものを被写体にし、感動が伝播しているということがわかりました。

感動したときの視覚以外の感覚が遮断される一瞬が写真に込められている、そんな写真です。

お酒も同じですね、自分が感動できないものを感動として伝えることができない。

しかし、誰しもが同じく感動するわけではなく、心の在りようによって感動しない場合もありますし、興味がない人に感動は伝えられません。

お酒も面白いもので、毎日、表情が異なります。お酒の評価することはプロであっても難しいのを、感動がない、インパクトがない、などという評価を下す人をみるにつけ、感性を磨くのが大事だろう、などと酔っ払いながら考えている毎日です。

まあ、受け取る側がどうであれ、少なくとも提供する立場の私が感動した酒をずっと伝えていけたらいい、と思っております。

ところで、佐藤ケイジュ先生の作品展が明日から行われます。

お近くの方は是非。Photo

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年11月11日 (水)

右肩あがり

一昨日の夜は、「第二公園山長」さんで柳家さん生師匠をお呼びしての寄席がありました。Photo_2

私の席は一番前の、相撲で言えば、砂かぶり。最高のシチュエーション。

師匠が登場して、座布団に座ると、多くの人が、チラリーン、チャラリーンと携帯のカメラで写真をとりました。

すると、師匠は、カメラ一つ一つに向かって、ピースをしてにっこり。

これで客の心を鷲づかみでした。

当日の演目は、「親子酒」、「天狗裁き」。

さん生師匠の「親子酒」での酔っ払った演技が、山形県の誇る酒の先生、小関師匠を見て学んだのでは?というくらい似ておりました。

とにかく、爆笑の渦。

落語というと難しく考えている人がいるかもしれませんが、実際に見るのが一番なんです。

演目が終わった後に、素直な感想だったんでしょうね、若い人が「お話上手ですね~。」と師匠に言っておりました。

寄席が終わり、打ち上げに同席させていただくことに。

酒は「純米酒 六根浄」と山形の誇るプンプン系代表「○○○」を持参し、居酒屋へ。

師匠が「○○○」を飲んで、「こんなに香りがいるかな~?」と言ったのを聞き、かなりの酒通と見ました。

話を聞けば、師匠のおもてなし料理が先月のdancyu11月号で取り上げられるくらいに食にこだわった師匠なのでした。

きちんと家ではダシをとって料理している、酒は純米酒を飲む、など、食に関して私と共通している環境にあることがわかりました。

さん生師匠の日本酒好きは、師匠の師である3代目 柳家 小満ん師匠が昔から久須美酒造さんと親しくしていることから、影響されたのだそうです。

私も酔っ払った勢いで、

「私のことを小満ん師匠が誉めてくれたんですよ。」と師匠に話しかけました。

「え?何で?」

「小満んがいい太郎です。」

「・・・。」

釈迦に説法でした(苦笑)。

「なんでも一流に触れるのが大事なんだよ。」

一流の噺家さんとのお話は非常に有意義で楽しいものでした。

師匠、楽しいひとときをありがとうございました。

うれしいことに師匠のサイト「さん生さんちの台所」でも「純米酒 六根浄」を紹介していただきました

写真の右側にいる右肩が私です。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年11月 7日 (土)

「山形正宗 純米吟醸 雄町」は全盛期の井上康生の内股だ!!

まずはこの動画を見て下さい。

特に、1:18からの内股・・・素晴らしいですね。

相手選手は内股を警戒し技がかけられるのをわかっていても、いとも簡単に投げられてしまっています。

普通、柔道の稽古を積むと受けが強くなり、そうそう相手の投げをくらわなくなるんです。

しかも100kg級であの技のキレ。

今から見ると圧倒的な強さでしたね。

技が来るのをわかっていても、内股の技をかけられ、あっと思ったら体は宙に舞い、畳の上に叩きつけられる。

「山形正宗 純米吟醸 雄町」を飲んだ時に私の脳裏にパッと映った印象と同じだったんです。

わかっていても予想を超える旨さ。旨すぎる。

戦前の酒米の王様「雄町」。

今でも王様はお前だよ。

Photo

ご注文雄町しております

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年11月 6日 (金)

ヤンキース・松井秀喜選手は山形の酒が好きらしい

昨日のワールドシリーズのヤンキース・松井秀喜選手のMVPのニュースを見て、本当に感激してしまいました。

涙が安っぽくなってしまった現在において、あれだけの栄光を掴みながらも涙がない、そのいさぎよい姿に涙しました。まさに日本人の鏡です。

ところで、ヤンキース・松井秀喜選手は山形の酒が好きらしい、という話が山形の酒業界の中で言われております。

もちろん山形の酒と言っても色々あります。

もったいぶらずに紹介しましょう。

「九郎左衛門」を造っている新藤酒造店の酒が好きらしいんです。

蔵元の新藤さんがニューヨークへ行ったときにお酒を渡した、と、以前直接お話したのを聞きましたので、ほぼ間違いないでしょう。

苦労したから「九郎左衛門」なんて語呂合わせで選んだのではないようです。巨人時代から好きだったみたいです。

ちなみに、当店では新藤酒造店のお酒は・・・、置いておりません。

他のお取扱店へどうぞ。

とにかく、松井秀喜選手の活躍の裏に日本酒の存在があったとしたらうれしいことですよね。

元気の源は日本酒にあり!

蛇足ですが、日本酒を多く飲む県では出生率が高いという統計があるようです・・・。

最近はまりまくっているブラジル音楽。ブラジルで人気があるマリア・ヒタの「O Homem Falou(彼は言った)」のドラマチックな曲調が松井選手の野球人生にダブって見えます。

おっ、ブラジル音楽っていいな、と思った方。

ブラジル音楽のことならカフェ・ブリュ、もとい、サンバタウンさんですよ。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年11月 5日 (木)

Kilroy was here

蔵元に入ってくる醸造アルコールこと原料アルコールは、非常に純度が高く、無色透明の液体です。

アルコール度数は95.6%。これをためしに舐めてみると、一瞬甘く、それからパーンと舌の上で昇華します。

純米酒以外の日本酒はこの醸造アルコールが添加されているわけです。ちなみに、本醸造で一升瓶の中身の4分の1にあたる25%が醸造アルコール由来の成分となります。

この原料が何であるか?

そのほとんどがブラジルの車を走らせる燃料ガソールに使用されるのと同じ、廃糖蜜(モラセス)原料のアルコールとなります。

日本酒の中にブラジル産原料のアルコール。私がアル添に違和感を感じる点の一つです。

もし、私がブラジルに本醸造を持って行くとします。

ここからは私の妄想タイムです。

201×年ブラジル某所において。

「これは本醸造と言いまして、アルコールを少し添加した日本で一般的に飲まれている日本酒です。実は、このお酒にはブラジル産の原料が入っているんですよ。」(私)

「ブラジル産の米を使っているんですか、うれしいですね。」(伯)

「いや、アルコールの原料がブラジル産なんです。」(私)

「もしかして、カシャッサですか?」(伯)

「惜しい!廃糖蜜(モラセス)を蒸留したアルコールになります。」(私)

「それって車の燃料では・・・。」(伯)

「米アルコールはクセがあってダメなんだそうです。やっぱり、ブラジル産のアルコールが好まれているんですよ。どうですか?試しに一杯。」(私)

「ドモアリガト ミスター・ロボット。」(伯)

廃糖蜜(モラセス)原料のアルコールが飲用としてブラジルで通用するか否か、本当のところをブラジルの人に聞いてみたいと思います。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年11月 4日 (水)

悲しき「正酒屋 六根浄」

211142 山形市駅方面を大日山から臨む。

遠くに見える朝日連峰は昨日の雪で冠雪しています。

少し早い冬の到来でしたね。

211143平泉寺の大日堂裏の新・四国八十八箇所巡りの石仏も朝日に照らされ神々しい姿を見せております。

211144空気が澄み切って、なぜか悲しい感じがするほど天気の良い一日でした。

211145

秋空に 正宗雄町が よく似合う

ご注文雄町しております

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年11月 3日 (火)

まずいはうまい、うまいはまずい~文化と嗜好との狭間で~

「文化の日」ということで、「『香り』という病」にとりかかる前に、日本酒の文化と嗜好との関係について。

「何だかんだ言っても要は旨ければいいんだよ。」

初心者であっても経験を積んだ方であっても、お酒を消費する立場の人すべてが使うことができる大変便利な言葉です。

日本酒業界のほとんどの造り手や売り手はこの言葉に対する防御策を持たず、言われるとオロオロしてしまうように見えます。

ワインの世界では許されなくても、日本酒の世界では易々とこの発言が許されてしまう。

発言の自由さが日本酒のいいところでもあるのですが、日本酒文化の深化につながる言葉でないように感じています。

それでは、先の発言に対しどう対応すればいいのか?

どんな文化にも体系があり、体系を知ることなしに文化を語ることはできません。

「文化」とは美意識の共有が歴史を経て「型」として成立したものを指します。文化の中には物事のモノサシが出来上がります。

日本酒の味で言えば、「五味の調和」が取れた状態を日本酒の最上の姿とします。「甘・酸・辛(もしくは旨)・苦・渋」が一体となって、さりげない姿になる。これは日本人の美意識の投影であるような気がします。

これとは反対に、個々人の味覚の現れと好みは「嗜好」ということになります。

当然、文化と個人とはモノサシの尺度が異なるわけで、文化と嗜好の間では、「まずいはうまい、うまいはまずい」ということが常に起こりうるわけです。

文化の中での「うまい」が、個人のモノサシでは「まずい」ということがある。その逆もまたしかり。

人は「うまい」と信じるではなく「うまい」と感じます。「うまい」という主観は信念ではなく「訪れ」です。自分の意思で動かせるものではありません。

日本酒を覚えたての人は、「香り」「甘味」があると「うまい」が訪れやすいようです。

このことは幼少の頃に味覚と言葉を覚えた経験からもたらされたものだと思います。

離乳食や甘いジュースを口にして最初に覚える言葉が「甘い」であり、その時の身体的要求が充足されたときにもたらされる満足感が「うまい」であったわけです。

「甘いはうまい」は人間の味覚における冒険のスタートなのです。日本酒においても同じことが言えるようです。

しかし、「甘いはうまい」が「甘いはまずい」になりうるのが人間の味覚の面白いところなのです。

人は「ありのままの味」を楽しむ段階から、食だけでない様々な経験をすることで「味の周辺」をも楽しむようになります。そうすると、「甘い」=「うまい」だけでない、より精神的な「うまさ」が見えてくるようになります。

修練により、一見、虚無的な味に色づけできる能力が備わってくると、「まずい(一般的な嗜好で見た時)はうまい」が「信じる」のではなく「訪れ」によって告げられます。

我慢ではなく、「甘いはうまい」と同じ「まずいはうまい」にも身体的快がやってくるのです。

「甘いはうまい」が本能的欲求の充足とすれば、「まずいはうまい」は精神的欲求が充足し身体化した姿と言えます。

「この甘さは何のための甘さなのか?」文化的な意味付けを見出すことができない「甘さ」に対する嫌悪感から、「甘いはまずい」にもなりうる。

「ありのままの酒」の姿を体験できる人はいない。それぞれの経験・程度・尺度で切り取りした酒の姿を見ているだけです。

日本酒を正しく評価するには、文化を知り、審美眼を養う必要があります。

ですので、先の発言の「旨ければいい」というのは自己満足の範囲でしか通用しない言葉であり、全然恐れる必要がありません。

ただ、文化の洗練は退廃と隣あわせです。嗜好との摺り合わせにより、再検証する作業を怠ってはいけませんので、どんなレベルの人の意見であっても、その意味を汲み取る努力は必要です。

以上、わがまま店主の日本酒の味覚文化論でした。

本日、火曜日ですが営業しています。雄町しております。

| | コメント (6) | トラックバック (0)

« 2009年10月 | トップページ | 2009年12月 »